2024年度最低賃金の引上げによる影響は?注意点と行うべき対策について解説!

公開日:2025/09/19
最低賃金

2024年度の最低賃金は全国平均で過去最大となる51円引き上げられ、全国加重平均額は1,055円に達しました。東京都や神奈川県では1,160円を超えるなど、企業にとって人件費の増大は避けられません。中小企業を中心に経営への影響は大きく、採用や雇用維持にも直結します。本記事では、最低賃金引き上げの影響や注意点を整理し、企業が取るべき具体的な対策について分かりやすく解説します。

2024年度の最低賃金引上げの概要

最低賃金の引き上げは、企業にとって重要なトピックのひとつです。2024年度は過去最大幅の改訂となり、全国の事業者に大きな影響を与えました。

過去最大の引き上げ幅

2024年度の最低賃金は、全国平均で前年よりも51円引き上げられました。これは、過去最大の上げ幅であり、2023年度の43円をさらに上回る水準です。

最低賃金の大幅な上昇は、労働者の生活改善を目的とするものですが、同時に企業にとっては人件費増加という現実的な課題を突き付けられます。とくに、非正規雇用やアルバイトを多く抱える業種では、時給単価の上昇が経営に直結するため、注視すべき動向です。

全国平均と発効日

引き上げ後の全国加重平均額は、1,055円に達しました。東京都では1,163円、神奈川県は1,162円、大阪府は1,114円と、主要都市部では1,100円を超える水準となっています。

そのほかにも、北海道・茨城県・栃木県・埼玉県・千葉県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県・滋賀県・京都府・広島県では、最低賃金が1,000円を超える結果となりました。

最低賃金の改定は例年10月頃から順次発効しますが、都道府県ごとに発効日は異なります。そのため、企業は地域ごとのスケジュールを確認する必要があります。

とくに、複数拠点を持つ企業においては、地域ごとの賃金額と発効日を正確に把握し、給与計算に誤りがないように注意しなければなりません。

最低賃金引上げが企業に与える影響

最低賃金の上昇は、単に賃金が増えるだけでなく、採用や労務管理など幅広い分野に影響を及ぼします。ここでは、具体的にどのような影響があるのか解説します。

人件費増加による経営負担

最低賃金の引き上げにより、企業は人件費の増加を避けられません。たとえば、フルタイムで働く従業員の場合、1時間あたり51円の上昇は月間で数千円、年間では10万円以上の人件費増につながることもあります。

とくに人件費比率の高い飲食業や小売業などでは利益率を圧迫する可能性が高いため、従業員数や雇用時間の見直しを迫られるでしょう。

採用への影響

最低賃金が引き上げられると、求人市場全体で時給水準が上がり、採用競争がさらに激化します。とくに人手不足が続く業界では、求人条件の差別化が難しくなり、応募者を集めるコストが増加します。

良い人材を獲得するためには、さらにコストをかけなければならないため、経営にさらなる負担がかかります。

扶養内で働く人の労働時間調整

主婦層や学生アルバイトなど、扶養内で働く人にとっても最低賃金の上昇は影響します。時給が上がれば同じ労働時間でも収入が増え、結果的に「103万円の壁」や「130万円の壁」を超えてしまう可能性が高まります。

扶養範囲を超えないためには労働時間を減らさなければならず、結果として人手不足に陥る可能性があります。とくに、スーパーやコールセンター、工場・倉庫といった扶養内で働くスタッフが多い職場では注意が必要です。

社内の賃金バランスへの影響

最低賃金の上昇は、非正規雇用だけでなく正社員やベテラン従業員の処遇にも影響します。アルバイトの時給が上がることで、正社員との給与差が縮小し、モチベーション低下や不公平感を招く恐れがあります。

とくに長年勤めてきた従業員からすれば、新人とほとんど変わらない水準になることで、自分の仕事が正当に評価されていないように感じる可能性があります。企業は最低賃金の引き上げに合わせて、全体の賃金バランスを見直すことが求められます。

最低賃金引上げへの対応策

最低賃金の引き上げは、企業にさまざまな影響を及ぼしますが、事前に備えることで事業の発展につながる可能性もあります。ここでは、企業が実践できる具体的な対策を紹介します。

生産性向上と業務効率化の推進

最低賃金の引き上げに伴い時給が上がると、従業員のやる気やモチベーションがアップします。そのタイミングで、従業員のスキルアップを図ることで、賃上げ分の業績向上が期待できます。

たとえば、従業員に対する研修やセミナーを開催したり、外部セミナーへの傘下を促したりするのも効果的です。そのほかにも、資格取得の支援やスキルに基づく人事評価制度の導入など、スキルアップを支援する環境を整備することが大切です。

また、設備投資によって生産性を高めるのもひとつの手です。ITシステムや自動化ツールを導入することで、作業時間を短縮し、少人数でも業務を回せる体制を構築できます。単なる人件費の削減ではなく、付加価値の高い働き方を実現することが長期的な競争力につながります。

労働時間の見直し

従業員の残業代に多くの経費がかかっているのであれば、まずは労働時間の見直しが必要です。たとえば、管理職に定時退社を促したり、従業員に配布しているパソコンを毎日〇時にシャットダウンするように設定したり、労働時間を改善するような取り組みが求められます。

自社だけでは対応が難しいのであれば、コンサルティング会社に依頼して業務改善を図るのもひとつの手です。場合によっては、従来よりも稼働を落とし、規模を縮小した方が安定経営につながるケースもあります。

最低賃金発効前に採用

最低賃金が発効する前に人材を確保することも、企業にとって有効な戦略です。改定前であれば現行の賃金水準で採用できるため、採用コストを一定程度抑えることが可能です。

もちろん、発効後には新しい最低賃金を適用する必要がありますが、採用活動のピークを前倒しすることで人材確保の競争に先手を打てます。加えて、早期に採用した従業員を育成し、発効後の人手不足に備えることもできます。

最低賃金引き上げに伴う注意点

最低賃金法に違反すると罰則が課される可能性があるため、十分に注意が必要です。たとえ雇用主と従業員が合意のうえで最低賃金を下回る時給で契約していたとしても、法律によって無効となります。最低賃金法4条2項では「最低賃金額と同額の定めをしたものとみなす」と規定されているため、必ず最低賃金以上を支払わなければなりません。

最低賃金法に違反した場合は、まず最低賃金額との差額を支払う必要があります。さらに、地域別最低賃金額を下回った場合は、最低賃金法に基づき50万円以下の罰則が科されます。また、特定(産業別)最低賃金額を下回った場合は、労働基準法により30万円以下の罰金が定められています。

よくある誤解として「出来高払いだから関係ない」と考えてしまうケースがありますが、出来高払いであっても最低賃金は適用されます。また、試用期間中であっても原則として最低賃金が適用されるため、年齢や入社時期にかかわらず、最低賃金を下回っていないか確認することが大切です。

まとめ

2024年度の最低賃金引上げは、全国平均で1,055円と過去最大の上昇幅となり、企業に大きな影響を与えています。人件費の増加や採用競争の激化、扶養内で働く人の労働時間調整など、経営上の課題は多岐にわたります。

企業としては、地域ごとの発効時期や特定最低賃金の適用などの法的ポイントを正しく理解する必要があります。そのうえで、業務効率化やDX化による生産性向上、賃金体系の見直しといった多角的な対応が求められます。

さらに、今後も最低賃金の上昇は続くと予想されています。中長期的な戦略を立てることが重要です。本記事が参考になれば幸いです。

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